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伊達の国を飾った仙台門松

「仙台門松」 とは

一般的に見られる門松<斜めに切った三本の竹を組み合わせて立て周囲に松などをかざるもの>とは異なり、松が主体となったもの。クリやクヌギの柱に大きな松と笹竹を取り付け、根元を「鬼打木」とよぶナラなどの割り木で囲み、中央にしめ縄を交差させて炭や干し柿・昆布などを和紙で包んだ物などを添えた「ケンダイ」と呼ばれるしめ飾りを取り付けている。こうした門松は、かつて仙台藩領だった地域(宮城県、岩手県南部)などで飾られていたが、明治時代以降次第に少なくなり、近年ではごく僅かしか残っていなかった。





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「仙台門松」 復活の経緯

仙台市博物館で行われていた『仙台市史』編さんの過程で、仙台の歴史的文化の一要素として研究が進み、仙台城に飾られていたものは高さが4~5mほどの高さがあり、材料は根白石(仙台市泉区)から献上されていたことが判明した。東日本大震災後、仙台市博物館が実施した被災歴史資料レスキュー活動の過程で、根白石で伝統的な門松を続けている旧家を「発見」。古文書や絵画史料ともほぼ一致し、江戸時代の門松の復元が可能となった。平成25年度から仙台市内の歴史系ミュージアムの連携組織「仙台歴史ミュージアムネットワーク」で伝統的な門松の復元・展示事業が開始され、現在に至るまで正月の高齢活動として継続され、市政だよりの表紙にも取り上げられる(令和2年1月号)など、定着を見ている。

市内16か所に仙台門松を設置

心のふるさと創生会議は、郷土の歴史的・文化的遺産を掘り起こし、未来へ継承することを目的に平成29年に発足した一般社団法人。東北福祉大学と連携した歴史講座開催などを行っている。「歴史の薫りのする街づくり」を活動の一つとしており、その最初の事業として仙台伝統の門松=仙台門松をミュージアム以外でも仙台市内に飾ることを令和元年から開始し、令和4年の正月には市内12ヶ所で仙台門松を飾っている。きたる正月には16ヶ所以上で飾る予定となっている。仙台門松の特徴や歴史、その復元・展示事業を広く知ってもらうことを目的とした書籍の発行を企画し、かつて仙台市博物館で仙台門松の研究に関わっていた菅野正道を編者とした『伊達の国を飾った 仙台門松』を12月16日(金)に株式会社プレスアートから発行した。

伊達の国を飾った仙台門松
CONTENTS

伊達の国を飾った仙台門松
CONTENTS

「仙台門松」の復活をよろこぶ 心のふるさと創生会議 会長  平川 新

第一章
「仙台門松」とは 郷土史家 菅野 正道
「仙台門松」復元事業立ち上げから今日まで 心のふるさと創生会議  代表理事 田中 克人
仙台門松の「発見」とその復元 郷土史家 菅野 正道

第二章
仙台門松の形と歴史 仙台市博物館 倉橋真紀

第三章 
仙台門松見聞記 その1 歴ネット編
仙台門松見聞記 その2 仙台藩内編

第四章
門松の伝統を守り続ける熊谷和夫さんに聞く
<座談会>「仙台門松」飾りの裏方奮戦記 

第五章 仙台門松への想い
株式会社菓匠三全/ホテルメトロポリタン仙台「はや瀬」/志ら梅ビル株式会社/東北福祉大学/仙台水族館開発株式会社/株式会社鐘崎/八幡杜の館/秋保・里センター/髙惣合同会社/株式会社西村呉服店/三井不動産株式会社/青葉神社と「仙台門松」/ウェスティンホテル仙台/森民酒造本家/旧伊達伯爵邸 鍾景閣

伊達の国を飾った仙台門松

発売日
2022年12月16日
販売価格
1000円+税
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