PHOTO=鈴木信敏(ノブフォト)、戸澤直彦(Photo Mart)、池上勇人、齋藤太一
2月と言えばバレンタイン。多くのパティスリーが続々と個性豊かなショコラを取りそろえています。今回は宮城県内で本格的にショコラづくりに取り組むパティスリーを7軒ピックアップ。各店最新のバレンタインの商品情報と合わせてご紹介します。
「チョコレートはもっと気軽に食べていいと思う」。そう話すのは、シェフ・パティシエの池田さん。わかりやすく、食べやすく、かつ買いやすい値段。それを考えて、生チョコレートを充実させるようになった。
2018年から作り始めた「パヴェ・ドゥ伯楽星」は、イタリアのハイブランド「DOMORI」のエクアドル産アリバナシオナル種カカオを使用したクーベルチュールに、宮城の地酒『新澤醸造店』が醸す「伯楽星」を使用。フルーティーかつ繊細な風味を出すため何回も試作を繰り返して完成したその味わいは、高品質ながら気軽に楽しめる生チョコレートの真髄だ。
バレンタインにおすすめの1箱は「コレクション ショコラ H6」。キャラメル、カプチーノ、プラリネなど様々なフレーバーを世界最高峰ショコラでガナッシュ。ショコラは冷蔵庫から出して、約30分後の20℃前後の常温が、香りや味わいを最も感じられるそう。ウイスキーやブランデー、ワインと一緒に食べれば、お酒とショコラのマリアージュが楽しめる。
古代の製塩方を伝える「藻塩焼神事」が行われる『御釜神社』の近く、本町商店街に店を構えるチョコレート専門店『クレオバンテール』。
「チョコレート自体に栄養があるので、そこに不足しがちなミネラル(塩)を組み合わせようと、全国の塩との相性を試して辿り着いたのがこの地」と語るのは代表の渡辺さん。「塩竈の藻塩」は雑味が少なくまろやか。店の看板でもある大きな塩の結晶をあしらった「藻塩ショコラ」は、程よい塩気と控えめが甘みが特長だ。
バレンタインにはぜひショコラの詰め合わせを選びたい。「藻塩ショコラ」(一粒320円)はもちろん、地酒「浦霞」を使ったショコラ「サケ」や、ピスタチオチョコクリームとキルシュ風味のガナッシュの層が楽しい「ピスターシュ」など、約20種類のショコラが勢ぞろい。個性豊かなラインナップから、お気に入りの1粒を見つけてみては?
叢田一範さんがビーン・トゥ・バーのチョコレートを作り始めたのは2018年8月。生豆を仕入れ、焙煎温度や時間を変えながら試行錯誤。豆を精製する選別機も自作し、どうにか形にできたのが2019年春のことだ。
大企業ならいざ知らず、個人で豆から手掛ける店は全国にも数えるほど。いま店頭に並ぶのは4種類の単一商品。口の中でゆっくりと溶かすと、豆の個性が鮮やかに立ち上がってくる。叢田さんが「人間と自然の織りなす最高到達地点」と語る本物のチョコレート、ぜひ試されたし。
MURATAではバレンタイン限定の商品を多数用意。
①バレンタイン限定 ショコラメランジェ
枯れた花びらに抱かれて、これから来る春の芽吹きと躍動を込めたというケークショコラ。上にチョコレートクリームとカリカリしたヘーゼルナッツを乗せ、甘いもの苦手な男性にも食べやすいケーキになっている。
※電話もしくは来店にて要予約、詳しくは店舗に問い合わせを※
②トリュフショコラのテリーヌ
ねっとりと濃厚な口当たりが病みつきになる大人のデザート。薄くスライスして、上質な塩や挽きたての胡椒、シナモンなどのスパイス ドライフルーツを添えて。アルコールとのマリアージュも楽しみたい一品だ。
③フォンダンショコラ
軽く温め、好みのアイスクリームを半解凍で添えてデザートプレートとして食べるのがおすすめ。バレンタイン限定でフランボワーズソースが入ったフォンダンショコラとの2個入セットも販売する。
2018年12月のオープンから約3年。『ラ キュイ キュイ』は仙台市内でも珍しく、ショコラ専用のケースを有する。
数あるお菓子の中でも、ショコラは手間がかかる上、管理が難しい。一粒の小さな世界を精巧に創り上げる技術が問われる。しかしながら「そこ気高さこそが面白さ」と語るオーナーの山口さん。
仕立ては宝石のように優雅に、コーティングは薄く軽やかに、そしてフィリングには素材の個性をぎゅっと凝縮して。それぞれの本質を際立たせ、持ち味をリンクさせる担年な仕事を映すショコラを、ぜひ味わってみてほしい。
メタリックカラーのハイヒールにマンディアンが入った「ショコラハイヒール」(2530円)が、バレンタイン限定で登場。マンディアンはホワイト、ドゥルセ、ミルク、ビターの4種セット。2月6日までの予約でハイヒールのカラー(ゴールドレッド、ゴールドブルー、紫パール、ピンクパール)から選択が可能。食べてしまうのがもったいないほど、目にも美しい一品だ。
創業1976年の『ガトーめぐろ』は、仙台で初めてトリュフチョコレートを手掛けた店。まだフランス菓子に馴染みが薄かった時代から“本物の菓子作り”に信念を燃やした歴史が、キメの整った一粒ひと粒に封じ込められているように感じる。
オーナーシェフの目黒榮治さんは、2018年に宮城の名工として表彰された宮城洋菓子界の先駆者。職人として最も大切にしていることは“素材と心の鮮度”だという。トリュフチョコレートもカシス、キャフェ、アマンド、オレンジなど12種類ほどがあるが、どれも作りたてケースに並べ、口に含んだ瞬間に初々しいフレーバーがあふれる感動を届けてくれる。
バレンタインを家で過ごす方におすすめなのが、ツリー型の型抜きチョコにドライフルーツを飾った「チョコツリー」。飾って目で楽しんだ後は土台まで食べる事ができる、家族でシェアしても楽しい一品だ。台数限定なので予約の上で購入を。
この道30年の熟練パティシエ・久我健一朗さんは、“チョコレート=甘い”という固定概念を打ち破るべく、ワインやウィスキーにも合う斬新なレシピを生み出す異端児だ。
中でも冬になると恋しくなるのが、ゲランド産岩塩と塩気の鮮烈なピンクペッパーが効いた「テリーヌ・ショコラ サレ」。ショコラはカカオ75%と54%のベルギー産クーベルチュールチョコレートをブレンドして華やかに。バター、卵、砂糖を合わせて低温でじっくりと湯煎焼きすることで香りとコクを逃さず、ねっとり濃厚な口当たりに仕上げている。
久我さんは店を一人で切り盛りしているため、レシピも豊富で自由気まま。地元で採れる果物や野菜を使った新作や流行を取り入れた限定商品が突然登場する。フランス語でスパイスを表す店名が表すように、何気ない日々に素敵なアクセントを添える一軒だ。
今冬「ボンボンショコラ」が満を持して登場。マンゴーや抹茶、ラムなど個性豊かなショコラが一缶に集う。手を伸ばしやすい価格帯なので、自分へのご褒美として楽しんでもいいだろう。
400年前のスペインで、日本人として初めてチョコレートを食べたと伝わる支倉常長。彼が少年時代を過ごした川崎町支倉で、食材としてのカカオのポテンシャルを模索しているのが『支倉庭』だ。
川崎の新澤醸造店の酒粕、東松島の長寿味噌、大崎の桃薫いちご、柴田の雨乞ゆずなど、県産の食材を生チョコレートに忍ばせた8種類の「カカオダイス」にチョコレートの針路を描いた。
支倉常長の時代、チョコレートはお菓子ではなく栄養補給の薬だったと伝わる。遙か時を超え、『支倉庭』のカカオ料理は地元を元気にする役割を担い、私たちに喜びを与える存在になっている。
『支倉庭』ではバレンタインまでの期間限定プレートを用意。ショコラチーズテリーヌ、濃厚チョコレートプリン、3種のカカオダイス、スワンシュークリーム、抹茶アイスが盛られた豪華な一皿。
ショコラチーズテリーヌはチョコレートテリーヌの層とチーズテリーヌの層に、宮城県産イチジクの甘露煮をサンド。濃厚なテリーヌとイチジクの絶妙な組み合わせをぜひ味わってみては?
※2020年1月発行『Kappo 仙台闊歩』掲載時の情報故、掲載内容は一例となる店舗があります。現在の詳細は各店舗へお問い合わせください。