大沼英樹写真集『幸福(しあわせ)の種蒔き桜』
種蒔き桜とは、冬の間は山にいる田んぼの神様が、春になると里におりてきて、桜の樹に宿り花を咲かせて、苗代に稲の種を蒔く適期を知らせてくれる桜のことです。
これまで私は、桜と人の営みを記録し、写真展や写真集としてまとめてきました。3月に行った仙台と東京の写真展でも、「春になれば必ず咲くと想像すること」が困難を乗り越えるために必要な心の強靭さを育むことにつながっていると改めて実感しました。
2025年1月末から3月末にかけて仙台文学館での企画展も決まり、新たな挑戦の舞台をいただくことになりました。みなさまに感謝です。今後も幸せの種を蒔き続け、微笑んでいただける1枚を残していきたいです。(大沼英樹)
山形県天童市のサクランボ農家の次男として生まれる。山形県立村山農業高等学校・林業科を卒業。その後仙台市の創表現専門学校est・スタイリスト科を卒業。1991年、写真家の宍戸清孝氏との出会いにより写真の道へ。約7年の助手を務め独立。毎年桜のある風景を撮影する。個展多数開催。写真集に『お伽噺桜』(2010年/窓社)、『それでも咲いていた千年桜』(2011年/窓社)、『忘れえぬまた再びの千年桜』(2012年/窓社)、『虹の贈りもの』(2013年/窓社)、『広瀬川〜水は巡り人は巡り会う〜』(2019年/プランニング・オフィス社)、「未来へつなぐ千年桜」(2021年/玄光社)などがある。仙台市在住。2005年宮城県芸術選奨新人賞受賞。
江竜田の種蒔き桜(福島県鮫川村)/矢造の種まき桜(福島県石川町)/古山王の種蒔桜(福島県矢吹町)/吉野辺種まき桜(福島県小野町)/戸引稲荷の種蒔桜(福島県船引町)/高野の種まき桜(福島県南会津町)/細越の種まき桜(福島県柳津町)/古御田神社の種蒔桜(福島県会津美里町)/東麻生の種蒔桜(福島県会津若松市)/三渡神社の種まき桜(福島県二本松市)/赤岩種まき桜(福島県福島市)/椎木の種蒔ザクラ(福島県相馬市)/八乙女種まきザクラ(山形県白鷹町)/南原熊野神社の種蒔桜(山形県山形市)/オサヤジの種まき桜(山形県山形市)/貫津の種まき桜(山形県天童市)/大泉家の種蒔き桜(宮城県仙台市)/南の沢の種まき桜(宮城県登米市)/鳥屋ヶ崎八幡神社の種まき桜(宮城県加美町)/桑畑の種まき桜(宮城県栗原市)/千厩の種蒔桜(岩手県一関市)/梁川の種蒔桜(岩手県奥州市)/宮の目の畑蒔桜(岩手県遠野市)/吉野の種蒔き桜(秋田県横手市)/おとぎの桜(青森県八戸市)など