PHOTO_菊池淳智
TEXT_菅原ケンイチ
※2019年11月発行Kappo102号に掲載した内容です。
北上川にもほど近い、石巻市の旧河北町三輪田地区に工房はある。
神奈川県出身の窯主・亀山英児さんが作陶に石巻を選んだのは、奥さんの出身地だったため。
「ここでは空、海、川の青が身近に感じられるのがいいですね。工房から見渡せる風景や自然から刺激を受けますし、日々の創作の原点になっています」。
三輪田窯では土も釉薬も地元で採れた天然素材を使っている。多くの作品は、堤焼の系譜を継いだ食器がメイン。
深みのある美しいブルーの器は、亀山さんの作品の代名詞だ。
このブルーの釉薬は、裏山の石がベースで、これに長石や石炭などを調合している。
最初試しに焼いてみたところ、別の色になると思っていたのに青に発色したので驚いたという。
焼き物の器は使われて生きるものだ。生活の中に溶け込み、使い込んでゆくうちに色も風合いも変わってゆく。
「自分ができるのは、窯から出したところまでです。それをお客さんが使い込んで、やっと完成形になります」。それは何十年という時間の話だ。
「自分が窯を開いてからまだ15年しかたっていませんから、お客さんに使い込んでもらっている途中ですね」と亀山さんが笑った。