Kappo 仙台闊歩

LIFE STYLE 2020.06.15

【暮らし提案】生活に寄り添う陶芸家のうつわたち - 岸上まみ子

POINT

毎日使うものだからこそ、こだわりたいうつわ。家にいる時間が長い今だからこそ、自分だけのお気に入りを見つけて暮らしを彩るエッセンスにしてみてはいかがでしょうか。

一歩ずつ、一筆ずつ紡ぐ 繊細で愛らしい物語り

※2019年11月発行 Kappo102号に掲載した内容です。

細かなラインで描かれた植物や小鳥たち。童話のように愛らしい世界が、岸上まみ子さんの筆先から生まれる。「大学で陶芸部に入ったことがきっかけでした。土もので紐作りやろくろ、大学院の頃には色鮮やかな色絵磁気をやっていました」。

乾かしただけの器は木肌のような風合い。「削りすぎないよう、気をつけています」

試行錯誤の末、35、6歳の時に細筆で描く今の下絵のスタイルにたどり着く。「人より手が遅いので、向いているものを見つけるまで時間がかかってしまって」と控えめに微笑んだ。

鉛筆で下書きした絵を、日本画用の面相鉛筆を使用して紅柄で骨描きする。

磁器土を練り、薄造りの形を作るのに早くて1カ月、時には2~3カ月を要する。乾いた後も削って調整し、素焼きしてから絵付け。ここが最も神経を使う作業だ。日本画用の筆と紅柄で線を引くときは、思わず息を止めてしまうという。
モチーフとなるのは庭の植物や、飼っている3匹の白猫と犬。世話をしていた小鳥もよくスケッチの題材となった。震災後は特に、ものづくりができる嬉しさを改めて感じたそう。
「美しいものを作れるように」。穏やかだけれど芯のある彼女の、やさしいまなざしが小さなうつわに凝縮されている。

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