PHOTO&TEXT=佐藤直美
一日のはじまりに食べる朝ごはん。
慌ただしい日の朝も、ゆったりとした休日の朝も、
お気に入りの調味料や道具、ちょっとした楽しみがあると、
気分よく一日をスタートできる気がしませんか。
朝ごはんを愛するスタッフが、
そんな、朝ごはんを彩るあれこれをご紹介します。
手入れが大変で、ハレの日に使うもの…というイメージのあった漆器。ですが、日常使いできる気軽さと、シンプルなお手入れで済むことを教えてもらって以来、ぐんと身近になりました。
実際に使ってみると、手触りの良さや口当たりのやわらかさに加えて、熱を伝えにくく熱い汁物でも扱いやすいなど、日々の食卓に寄り添う存在であることが実感できます。
こちらの漆椀に出会ったのは、本町にある『くらし座』さん。漆器というと、塗りの美しさにスポットが当たりがちですが、そんな漆器に、新たな側面をプレゼンテーションしてくれたことが、今回漆器を使いはじめるきっかけとなりました。
箸の長さや畳の大きさなど、日本の生活の中には、人の身体の寸法を基準とした「身度尺」から生まれたものが数多くあります。たとえば、お椀の大きさは、男性用だと4寸が一般的とされています。ところが、『くらし座』“座長”であるオーナーの大村さん曰く、これは男性の平均身長が約150cmだった時代を基準としたもので、現代の体格に換算すると不具合が生じていることが想像できます。
「作り手と買い手の距離が近かった時代は、使い手のダメ出しとそれに応えようとする職人たちのブラッシュアップが繰り返されることで、変化に即して改良が繰り返されていったんです」と大村さん。しかしながら、工業化と大量生産が進むとともに、作り手と売り手の提供する商品を、買い手は選ぶのみ…といった、フィードバックがなされぬままの売買がスタンダードに(詳しい話は、くらし座さんにて!)
こうした状況に警鐘を鳴らし、いま一度消費の在り方を見つめ直すことを、大村さんは漆器を例に上げることで伝えようとしています。
頭でっかちな理論はさておき。まずは、普段使っている日用品を見つめ直し、使い心地の良さの理由を突き詰めてみることが、もの作り・もの選びの質を上げることにつながるのかもしれません。
くらし座さんで、そんな目からうろこの、新たな気づきを体感してみてくださいね。