Kappo 仙台闊歩

CULTURE 2020.05.19

【祝再開!】 塩竈市杉村惇美術館 「bonとponの宮城ふたり遊び」(Kappo Vol.105より)

TEXT=佐々木綾
PHOTO=小野寺真希(fog)

塩竈市杉村惇美術館

住所
塩竈市本町8-1
電話
022-362-2555
時間
10:00~17:00(入館受付は16:30まで)
休日
月曜※祝日・振替休日の場合はその翌日
WEB
http://sugimurajun.shiomo.jp/
備考
※『塩竈本町談話室』は現在休止中

POINT

塩竈市杉村惇美術館は、緊急事態宣言を受け、休館していましたが、5月19日(火)から再開することが決まりました。Kappo Vol.105に掲載した「bonとponの宮城ふたり遊び」から、フォロワー約83万人の人気インスタグラマーbonさんとponさんが美術館を訪れた様子をお伝えします。訪問の際は、マスクや手指消毒、3密を避けるなどの行動をお忘れなく。

長年暮らした秋田から仙台へと移り住み、ふたりの時間が増えたことで日常を楽しむ時間が増えたbonさんponさん。宮城の気になる場所へ出かけて、新たな魅力を発掘しています。今回は塩竈市の『塩竈市杉村惇美術館』を訪ねました。

PROFILE

bonさん(左)、ponさん(右)

写真や動画で世界中の人とつながることができるSNS「Instagram」で人気の“理想の夫婦”。夫bonさんの定年退職後、秋田から仙台に移り住み、第2の人生を満喫中。

普段から美術館に行く時は落ち着いたモノトーンのコーデが多いというふたり。今回は建物のレトロな雰囲気に合わせてドットでリンク。ponさんのセットアップとbonさんのシャツはSunny cloudsとのコラボアイテム。bonさんのパンツはUNIQLO。

学芸員の阿部沙斗加さんに案内されるふたり。専門学校でデザインや絵を学んだふたりは、阿部さんの話に熱心に耳を傾ける。

館内には絵のモチーフとなったアイテムが点在。アトリエを再現したコーナーのほか、かつて映写室だった部屋にもコレクションが並ぶ。

1階の外壁や柱に使われているのは、今では採掘されていないという貴重な塩竈石。シンプルな外観に格式を与えている。

驚くことに、大講堂のアーチは木造。集成材が描く曲線によって、柱のない大空間が見事に構成されている。

漆で麻布を塗り固めた乾漆ピースを組み合わせて作る、四季をモチーフにしたブローチ。予約不要で体験できる。

家具や照明の雰囲気がふたりの自宅に似ているという談話室。コーヒーや焼菓子が楽しめる。

 JR仙石線本塩釜駅から徒歩10分ほど。港町を一望する小高い丘にあるのが『塩竈市杉村惇美術館』だ。昭和25年建造の『塩竈市公民館本町分室』をリノベーションした建物は、市有形文化財に指定された貴重な文化資源。平成26年の改修で一部が美術館となった今は、公民館としての機能も担いながら、若手アーティスト支援プログラムや地域住民向けのワークショップにも取り組むなど、文化交流の場となっている。そうした地域との結びつきが評価され、2019年度の地域創造大賞(総務大臣賞)を受賞した。

 こちらを訪れるのは初めてというふたり。建築当初の姿を残している館内の設えを一つひとつ確かめながら、板張りの階段を上がる。2階の常設展示室に並ぶのは、塩竈ゆかりの洋画家・杉村惇氏の作品。塩竈に疎開した杉村氏は、塩竈の風景や港に揚がる新鮮な魚などを数多く描いている。ダイナミックで力強い描写はもちろんのこと、年代による作風の変化も楽しみの一つ。ponさんが「これはちょっと雰囲気が違いますね」と気になった絵は、晩年の作品。なるほど、東洋画の墨色に憧れ、黒を基調としていた塩竈に移り住んだ当初の作品に比べて、彩りが加わり明るくなった印象だ。さらに杉村氏の作品の魅力は、ユニークなモチーフにもある。古いランプやグラス、酒瓶などを好んで集めていた杉村氏。アトリエを再現したコーナーには、それらも一緒に置かれている。「好きなものがちょっと似ている」とponさんは親しみを感じたようだ。鑑賞後は隣のサロンでひと休み。塩竈の歴史に触れる資料を眺めた後は、乾漆ピースを組み合わせて作る「乾漆ブローチ」の体験も楽しんだ。

 再び1階に下りたふたりは、渡り廊下の先にある大講堂へ。高さ9.7m、ゆるやかなアーチで構成された大空間は、建築としての美しさはさることながら残響も美しく、コンサートなども開催されている。市民にも貸し出しているため、ここで地域の方が健康体操やダンスの練習をすることもあると聞いたbonさんは「贅沢な使い方ですね、羨ましい」と笑う。最後は玄関ホール横にある『塩竈本町談話室』でコーヒー片手に語らうふたり。窓の外に見えるのはエドヒガンザクラ。この日は寒の戻りで肌寒く、花開く気配もなかった蕾だが、そろそろ桜の便りが届きはじめる頃。「暖かくなったらまた来たいね。今度は駅から散歩しながら」とbonさん。ふたりが待ちわびる春はもうそこまでやって来ている。

https://www.instagram.com/bonpon511/

bonponさんのお気に入り 杉村氏の静物画のモチーフや、塩竃の歴史と暮らしを描いたオリジナルのマスキングテープ(430円)。ponさんは「静物」をお買い上げ。

■ Kappo 2020年5月号 vol.105 ■
巻頭特集は「新 まち歩きの教科書」と題し、新しい“まち”の魅力を探しに出かけてみました。第2特集として「第3回 仙台短編文学賞」の大賞&プレスアート賞の受賞作品を全編掲載。ぜひ本誌をご覧ください。

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