スタイリスト=喜多尾祥之
ヘアメイク=田島沙智子
写真=齋藤太一
3月11日の福島第一原発事故について、独自取材と実名証言で綴られたノンフィクション作品『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発事故』を原作に、大事故の真実を映したヒューマンドラマが完成した。メガホンを取ったのは、『沈まぬ太陽』や『空母いぶき』を手がけた若松節朗監督。そして主人公の福島第一原発1・2号機当直長を演じたのは、名優・佐藤浩市だ。9年前の大事故をこのタイミングで取り上げたことについて、「一番意味のあるタイミングだと思った」と話す若松監督。「今年は東京オリンピック開催の年。聖火リレーも福島からスタートしますし、世界中の人たちにあの震災を発信するべきタイミングだと思い、制作に踏み切りました」(若松)
主演・佐藤浩市さんは、当時現場で起こっていたありのままを正直に伝えるべきという監督の意図を感じながら演じたと話す。「3月11日からの5日間、どんな気持ちで過ごしていたかは当事者しかわからない。けれども故郷を守るべく奮闘した人たちがいるということを、映画を通して伝えることが、福島のためにできることだと思い制作に臨みました」(佐藤)。
「制作に入る時にキャストの皆さんに、嘘のないストーリーの運びにしたいとお話しました。ひと足先に福島で試写を行った際に、福島の方々にとっては辛い映画になってしまうかもしれないけれど、最後まで観てほしいとお願いしたんです。そしたら上映後に、“このような映画を作ってくれてありがとう”という言葉をたくさんいただいて。現実を知ってもらう嘘のないストーリーを意識した意味を再確認できました。まだ帰還できていない方がいること、原子力発電の恐ろしさ、自然を甘く見てはいけないという教訓。そういったことを観た方に受け取っていただけたらうれしいです」(若松)。
「負の遺産を負の遺産のままにしてはいけないと考えながら、今作に臨みました。震災で負った傷は深いものではありますが、一人ひとりの想いを紡いでいくことで、“遺産”として後世に繋がっていくと信じています。そして今なお故郷に戻れない人、それから戻ることを諦めた人がいるわけです。そういう方にこの映画を観ていただいて、ふっと故郷のことを思い出してもらえたらと思います」(佐藤)。
監督/若松節朗
出演/佐藤浩市、渡辺 謙、吉岡秀隆、緒形直人、火野正平、平田 満、萩原聖人、吉岡里帆、斎藤 工、富田靖子、佐野史郎、安田成美
2020年/日本/松竹、KADOKAWA/122分
上映館/フォーラム仙台、TOHOシネマズ仙台、MOVIX仙台、MOVIX利府、イオンシネマ名取、109シネマズ富谷、イオンシネマ石巻、シネマ・リオーネ古川、ユナイテッド・シネマ フォルテ宮城大河原
🄫2020『Fukushima 50』製作委員会