家で過ごす時間が増えている今、そろそろ家の掃除や整理整頓にも方がつき、次は何をしようか、とか、毎日在宅ワークで思うような気分転換ができない人も多いはず。この連載では、2019年に発売された『Kappo Vol.100』の巻頭特集「宮城の100人」でインタビューをした人たちに現在の状況や今後の話、そして“おうち時間”を楽しむヒントを聞いていきます。
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館 課長・学芸主査
2019年1月に、『東北福祉大学 国見キャンパス』から『東口キャンパス』へと移転してきた『芹沢銈介美術工芸館』。仙台駅東口から徒歩3分ほどでと、今までに比べるとアクセスが良くなり、買い物の途中に立ち寄る人や、同じビル内にある『TFUギャラリー Mini Mori』観覧後に合わせて楽しむ人など、新たな来館者層が増えたという。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のために4月4日から休館。当初は5月下旬から企画展「朱いろ 藍いろ ー芹沢銈介の澄明な色彩ー」を開催する予定だったが、大学構内に学生の立入が禁止となったこともあり、企画展は日程が定まらないまま延期となった。
学芸主査の本田秋子さんは、「9・10月に大きな展覧会ができるように準備はしていますが、『TFUギャラリー Mini Mori』とスペースを共有しながらの展示になるので、お互いのスケジュールが決まらないとなかなか…。今年中の展覧会は、もしかしたら難しいかもしれません」
『芹沢銈介美術工芸館』は、展示内容に合わせた様々なワークショップに取り組んでいることでも話題だった。本田さんとスタッフとで話し合い、実際に楽しみながら内容を決めている。
先の展覧会「芹沢銈介の釈迦十大弟子尊像展」では、「吉祥結び・シャカ結び」と題し、組紐を結んで手づくりストラップを作るワークショップを企画した。
しかしそれも、コロナウイルスの感染拡大防止の観点から会期の終了を待たずに中止した。
「中止にする前に、材料だけ置いて来た人だけで作れるようにしようか、なんて考えたりもしました。ただ、やはりコミュニケーションがあってこそ、展示内容含めて新たな気づきがあり、ワークショップとして成立するもの。コミュニケーションが取れないのであれば、やる意味はないな、と判断しました。再開したら、週替りで内容を変えて、ワークショップ祭りをしようかと思っています」
工芸館は休館中と言えど、展示品の管理や調査で、仕事はほとんど変わっていないという本田さん。家では普段やりたくてもできなかったこと、フローリングにオイルを塗ったり、古い長編映画を見たりして過ごしているそう。
地道な家事も楽しみたいと、「洗濯物を楽しく畳む方法はないか長年考えたすえ、3年位前に編み出した」という“3分割法”も教えてくれた。こちらは、機会があれば写真を交えて紹介したい。
その中でもおすすめなのが「図鑑を眺めること」だ。
「もともと図鑑が好きなんです。動物、昆虫、美術、歴史と、種類がたくさんあり、タイトル、解説、写真など、見開きで1つのテーマが完結しているので、どんな人でも読みやすいと思います。インターネットで調べて画面で見るよりも情報量が多く、『なるほど』と納得したら意外なワードが出てきてさらにページをめくって…と広がりがあります。手が空いたらパッと広げられるよう、ソファのそばに数冊常備していますよ。こういうときこそ、紙ベースのものを広げてみたくなりますね」。
染色家であり、民芸品の蒐集家、商業デザインも行うなど、多岐にわたり活躍していた芹沢銈介。「意外なところで彼の名前が出てくることがあり、驚かされる」と話してくれた。
図鑑は写真が多く、わかりやすい解説のものが多い。この機会にパラッとめくって、気になるワードを拾い集めてみるのもおもしろいかもしれない。
■ Kappo 2020年5月号 vol.105 ■
巻頭特集は「新 まち歩きの教科書」と題し、新しい“まち”の魅力を探しに出かけてみました。第2特集として「第3回 仙台短編文学賞」の大賞&プレスアート賞の受賞作品を全編掲載。ぜひ本誌をご覧ください。
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