PHOTO_齋藤太一
TEXT_小林薫(編集部)
「女川に戻ると決めたとき、せっかくだから町にない店を出そうと思ったんです」。そう話すのは、この店の店主・奥津圭祐さん。女川町で生まれ育ち、18歳まで暮らしていた。
奥津さんがナポリピッツァを初めて食べたのは町を出てから。多様な食文化が体験できれば、生活がもっと豊かになるはずと一大決心。仙台市内の飲食店で勤務した後、当時神奈川県にいた世界一の称号を得たナポリピッツァの職人のもとで学び、ピッツァイヨーロとして20年ぶりに故郷へと戻ってきた。
店はJR石巻戦女川駅前にある『シーパルピア女川』の一番手前に位置。「女川の顔ともなり得る、駅から最も近い飲食店。中途半端な店にはできない」と、本場ナポリから薪窯を取り寄せ、味の要となる小麦粉やトマトソース、チーズもイタリア産にこだわった。特徴はもちっとした、しかし絶妙に軽い口当たりの生地。
現在は修行先のレシピとメニューが中心だが、「鮮魚店の『おかせい』さんがすぐそばにあるので、タコやホヤなど、女川で獲れる魚介を使いたい」と意気込む奥津さん。女川の気候、冷たい天然水で仕上げた、ここでしか味わえないオリジナルピッツァが間もなく登場するだろう。
店名のGABBIANOはイタリア語で海の象徴であるカモメ。海の町・女川の象徴的な店となる日が今から楽しみだ。
■ Kappo 2020年7月号 vol.106 ■
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