PHOTO&TEXT=小林薫(編集部)
握りは、親方が目を輝かせながら捌いていたマグロからスタート。まずが軽く漬けにした中トロから。タレの味わいとマグロの香りがふんわりと口中に漂います。食用米のササニシキで醸した「ササニシキ純米大吟醸」は、米のやわらかな旨み・甘みがありつつ、軽やかでバランスのいい一杯。タレ、しゃりにやさしく寄り添うような口当たりです。
お次のトロはやはり力強さがあり、味のインパクトが圧巻! 甘さのある「cider dorce」と合わせると、脂の甘みが膨らむような印象があり、最後の余韻まで楽しめました。
いかにはすだちをほんの少し絞り、お塩をかけて。ここでまた、一ノ蔵の佐藤さんが動きます。なんと「特別純米酒 ひやおろし」にもすだちを1滴。ほんのりすだちが香り、印象の全く違う一杯に変わりました。いかの甘みとの相乗効果で、より味わいが増します。キュッと〆た小肌には、こちらもキュッとした酸味の「デラウェア ペティアン2019」を。酸がお互いの旨み・甘みを引き立てる組み合わせです。
車海老は、海老味噌が入った一貫と、車海老の旨みを楽しめる一貫が登場。「青露 純米酒」は18℃でいただきます。常温に近いため旨みがやや強くなり、濃厚な海老味噌と好相性。一方、車海老そのものをより楽しめるのは「甲州 シュール・リー 2019」でした。
生姜、あさつきがのったあじには、先ほどの「デラウェア ペティアン2019」をオリ入りで。少し渋みが感じられ、青魚の香り、生姜・あさつきにほんのりある苦みによく合います。のどぐろの炙りは「特別純米樽酒」を。こちらは「特別純米酒」を杉樽に入れて杉の香を移した、爽やかな一杯。炙りの香りと杉の香り、合わないはずがありません! そんなわけで、写真を撮り忘れてしまいました。。。
つやつやのツメがかかったあなごには、「生酛特別純米酒 耕不盡(こうふじん)」と、先ほどの「特別純米樽酒」のブレンド酒をぬる燗で合わせて。あなごの香ばしさとぬる燗で香りがさらに広がった樽酒の香り、生酛の旨みがベストマッチ!
巻物はかんぴょう巻き。私は子どもの頃からかんぴょう巻きが大好物です。「かんぴょうを普通に調理したらこうなるよ」と親方はおっしゃいますが、柔らかく溶けるような舌触りのかんぴょう! 3個あったのですが、美味しすぎて写真を撮るのを忘れてしまいました。オーク樽の香りを移した「シャルドネ 2019」は程よい厚みがあり、かんぴょうと好相性でした。
以上、『暁月』のお料理とお寿司10貫と、『秋保醸造所』のワイン、『一ノ蔵』の日本酒をのマリアージュの様子でした。
毛利さんは「究極のマリアージュは産地にあり」を掲げて醸造所を立ち上げました。その想いから様々なイベントを考案しています。実はこの”寿司店×酒蔵×秋保醸造所”は、今後の予定も決まっているとか。日時が決まり次第、秋保醸造所のFacebookにてお知らせします。
次はどんなマリアージュが楽しめるのか、これから楽しみです。