文=編集部
「Reborn-Art Festival」(以下、RAF)は、石巻・牡鹿半島を中心に、アートや音楽、食を同時多発的に楽しむイベント。会場が分散・点在していることが一つの特徴で、コロナ禍における「ニューノーマル」なイベントとしての可能性を持ち、様々に注目されている。これまでは夏に開催されてきたが、今回は新緑の牡鹿半島を楽しんでもらいたいと、春会期を新設。会期を増やすことで、より密を避ける試みだ。また、入場時の検温や手指消毒はもちろん、鑑賞エリアの導線、来場記録、さらにはオンラインを活用した視聴も含め、あらゆる感染拡大防止策を講じての開催となる。
周りを思いやる“利他”と、流動的に変化する日常と想像力、関係性が今回のテーマ。地域の内側からの復興と、リボーンアートフェスティバルによって新たに生まれた地域の想像力、地域外の人との関係性という循環を生み出すという、最大の目標に改めて向き合う。
夏会期は、インディペンデント・キュレーターである窪田研二のキュレーションにより、国内外含め22組が参加。窪田は「テーマに基づいて自分と他者、自然と人間、非生命と生命の関係性を意識した」と話す。
駅から海が見え、震災遺構を残しながらも新しい町並みに生まれ変わった女川は、復興の今を伝える場所。「街の魅力も含めて、多くの人に訪れてもらいたい」という想いから、今回新たに会場に加わった。会田誠、オノ・ヨーコ、加藤翼の3人の作品が展示される。また、他エリアでは、これまでに常設されている作品も鑑賞できる。
石巻の料理人をフードディレクターに迎え、彼らと全国から集まるシェフたちが共演するセッションディナーや、地元の飲食店が出店するナイトマーケット「夜市」、食にまつわるシンポジウムなど、フードイベントも多彩。
音楽もこれまでのようなライブだけではなく、オンラインで視聴できる仕組みを活用。さらに、旧萩浜小学校の体育館に、Bank BandがゲストにMISIAを迎えた新曲「forgive」をモチーフにしたアート作品が展示される。「楽曲の核心となるような作品に仕上がりそう。新しい“ウワサの作品”となるはず」と実行委員長の小林。名和晃平が手がけた「鹿」に続く、シンボリックな作品が登場しそうだ。
2年に1度、牡鹿半島あげての祭典を、心待ちにしたい。
【会期】
2021年8月11日(水)~2021年9月26日(日)、2022年4月23日(土)~2022年6月5日(日)
【会場】
石巻市市街地、牡鹿半島(桃浦、荻浜、小積、鮎川)、女川駅周辺
【パスポート】
前売(~8月10日まで)/一般3000円、 高校生・専門学校生・大学生2500円
当日/一般3500円、高校生・専門学校生・大学生3000円
宮城県民限定パスポート/一律2000円
※中学生以下、障害者手帳を持つ人は無料。期間中何度でも鑑賞可。公式駐車場代込み。
※2021年8月5日発売のKappo9月号(Vol.113)には作品情報をさらに詳しく紹介いたします。