写真=齋藤太一 TEXT=鎌田ゆう子
Kappo5月号のSCOPEの中から、錦町の複合施設『木香テラス』をご紹介します。
青葉区錦町の築43年になるマンション。
その1階の住居3部屋をリノベーションし、昨年12月に誕生したのが、複合型の商業&コミュニティ施設『木香テラス』だ。
通りから奥にベーカリー、デリカ、カフェという3店舗が軒を連ねており、オーナーの宮田達雄さんが会長を務める建築士事務所『リディアル』が設計から内装、家具のプロデュースを手がけた。
「マンションの所有者から『空き部屋をなんとかできないか』と相談を受けたのを機に、『木香テラス』のプロジェクトがスタートしました」と宮田さんは振り返る。
宮田さんが思い描いたのは、「地域の人たちに喜んでもらえる場、人が集い交流できる場」づくりだった。
そこでまず宮田さん自身が『喫茶meguru』を出店。
この店では宮田さんをはじめ3人のマスターが日替りでカウンターに立ち、こだわりのコーヒーを提供している。「私は今年74歳、他の2人も還暦過ぎ。
セカンドライフを楽しみながら、お客様との会話で脳を活性化させています(笑)」
また、宮田さんの趣旨に賛同して入居したのが、他の2店舗だ。
『麦薫る風処 萌芽』では、宮城県内産地直送の素材を使ったパンを販売。
『KITCHEN DELICA meguru』では、新鮮野菜をふんだんに盛り込んだ惣菜や弁当を取り揃えている。
早くも地域住民に親しまれ、週末などには近隣以外の人も訪れており、「新たな交流が生まれています」と話す宮田さん。
空き室活用と地域活性化を同時に実現できる『木香テラス』の手法は、今後、至る所で深刻化していくであろう老朽マンションの空き部屋問題に光明をもたらすものとなるだろう。