文=編集部
このプロジェクトをニュースで知り、ホームページを見に行った時、Kappoが過去に取材してきた東北の宿が多いことに気づきました。
私自身、訪問したことのある宿が多く、なかでも宮城県で参加している宿は、東鳴子温泉の「百年ゆ宿 旅館大沼」、川渡温泉の「 山ふところの宿みやま」、蔵王の「峩々温泉」、ランプの宿として有名な湯浜温泉の「三浦旅館」の4つで、いずれも過去に取材かプライベートで宿泊したことのある宿ばかりです。
全国でほかにどんな宿が参加しているかや、申し込み方法などの詳細は、種プロジェクトHPをご覧ください。
種プロジェクトの仕組みはシンプルです。応援したい宿を選び、フォームからメール送信。その際、必要事項を記入し、1口5,000円から40口200,000円までを選びます。その後、銀行から入金し、3年間有効のサポーター証書が到着するという流れです。
現在約3,500名のサポーター登録者がおり、集まった金額は総額1億円以上と支援の輪がひろがっています。
大沼/3月下旬からキャンセルが出始め、5月いっぱい休館。6月1日から再開しますが、4月の売上は昨対20%と、非常に厳しい状況です。移動ができないわけですから、観光業界が成り立たない。6月以降ほとんど予約が入っていません。
大沼/本当にありがたいことです。割引になったり、〇割増しになるような、ユーザーが得になる仕組みではなく「いつか行きます、お金は先に払います」という、応援したいという気持ちの表れですから。すでに1,200口ぐらいお申込みいただいています。
大沼/宿の公式ホームページに「種プロジェクト」についての情報を載せてはいますが、そんなに宣伝したつもりはありません。一度フェイスブックに投稿したぐらいです。ただ、みなさんにシェアしていただいて。お客様からそういったご支援をいただけるのは本当にありがたいことです。「この宿をなくしたくない」と思ってくださるお客様が財産ですから。
大沼/金額ではなく、こんなに旅館大沼のことを思っていてくれている人が多いんだなという事実が宿を続ける原動力になりますし、モチュベーションにつながります。勇気を与えられた感じです。直接的にお客様の声が感じられるので気持ちも伝わってきます。しかも3年間有効のチケットなので最低でも3年は頑張らないといけないわけです。なんとしてもね。
大沼/そうなんです。発起人の丹羽さんは、温泉旅館のレビューサイト「タビエル」を主宰している方です。このプロジェクトはまったくのボランティアで、その事実に共感してサポートしてくださるお客様も多いと聞いています。
大沼/もてなし方をいろいろと変えていかなくてはなりません。例えば、お客様にも宿の仕事に参加していただくという考え方があります。別府に湯治柳屋という宿があって、オーナー女性はもともとカフェを経営していた方です。彼女はいかにお客様と協働してもらうか、かつ気持ち良く過ごしてもらえるかを徹底的に研究している方で。これからのサービスはそういう流れになっていくのかもしれないですね。
それから全室に紫外線でウィルスを殺菌するUV殺菌消臭器を導入しました。コロナが消えるというエビデンスもあります。またスリッパを使い捨てにしたり。うちは家族風呂が多いので、密にならないようにプライベートで使っていただければと思っています。
大沼/うちはお客様が帰られたら、オゾンで部屋を殺菌します。もちろん小まめに拭きもします。大事なのはお客様に約束したことをきちんと実行すること、持続させること。6月1日から再開いたします。できることをやって、お客様をお迎えしたいと思っています。
■ Kappo 2020年5月号 vol.105 ■
巻頭特集は「新 まち歩きの教科書」と題し、新しい“まち”の魅力を探しに出かけてみました。第2特集として「第3回 仙台短編文学賞」の大賞&プレスアート賞の受賞作品を全編掲載。10回目を迎えた「bonとponの宮城ふたり遊び」は、今回は『塩竈市杉村惇美術館』へおでかけしました(3月上旬取材撮影)。ぜひ本誌をご覧ください。
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