PHOTO=池上勇人、齋藤太一
TEXT=鎌田ゆう子、関東博子、編集部
Kappo、S-style特別編集「編集部が本気が選んだ 宮城を楽しむ おでかけ&宿」の中から、大切な人と過ごしたい宮城県内の憧れの宿7軒をご紹介します。温泉、料理、景色、心を込めたもてなしで、身も心もほどける極上の体験を。
秋保温泉郷の中心部にある『伝承千年の宿 佐勘』は、中世から代々湯守を務め、現当主で34代目となる老舗中の老舗である。
元湯『佐勘』でのメインイベントと言えば、やはり湯浴みだ。男性専用の『花月館』1階と女性専用の同館地下1階の「大浴場」、男女ともに利用可能な『飛天館』地下3階の「名取の御湯」、情緒ある湯宿を思わせる「河原の湯」、このほか予約制バリアフリーの貸切風呂もあり、趣の異なる風呂が楽しめる。
部屋または個室会場で味わう夕食は、地元の新鮮な山海の幸をふんだんに使い、四季の彩りを添えた会席料理。仙台黒毛和牛を堪能できるプランもあり、宮城の美味を心ゆくまで愉しむことができる。
『茶寮宗園』は、数寄屋風造りの美しい、純和風の湯宿。1階と2階、どの客室からも日本庭園を望めるのが自慢の一つだ。10室ある離れの客室のうち、9室に露天風呂が付いており、よりゆったりと時を過ごせる。
客室で一息ついたら、日本三大御湯の一つである名湯をいただきに浴場へ。広々とした露天風呂はここちよく、思わず長湯をしてしまいそうだ。離れはお部屋で、本館の客室に宿泊の場合は組子細工の戸で仕切った食事処「料亭羽衣」で食事を。季節を映した茶懐石で、旬の美味を堪能しよう。
訪れる度、もてなしや設えの一つひとつに心が踊る宿。誰に気兼ねすることもなく、ゆるりと時間を過ごしたい。
仙台の奥座敷・秋保温泉には、名湯と、ゆったりとした寛ぎの時間を求めて多くの湯客がやってくる。『ホテル瑞鳳』の迎賓館『櫻離宮』は、そんな人々をあたたかく、かつ高級感をもって包み込む宿だ。最高級の数寄屋風造り、四季折々に表情を変える庭園の趣、全室が露天風呂と内風呂付の客室は、1階がジャグジーバス、2階が檜の内風呂と設備も様々。各部屋の露天風呂では、立ち上る湯気の向こうの景色を楽しみながら静かに流れる贅沢な時間を愉しめる。
そして忘れてはならないのが、地場の恵みの豊かさを表現したような料理の数々。和洋中約80種類のビュッフェ料理が堪能できる。一品一品料理人が丹精して仕上げた料理は、この宿での贅沢なひとときにふさわしい。
威風堂々とした門を抜け、宿のエントランスに足を進める。ここから始まるのは、創業200余年の風格を感じさせるもてなしだ。特に多くを魅了するのが湯量豊富な温泉。敷地内に5つの源泉が湧いており、すべての浴場が加水・加温をしない源泉かけ流し。さらに、4つある岩風呂は全国的にも珍しい自噴泉で、足元から湧く源泉が空気に触れることなく浴槽を満たす。
客室は、和室にベッドを備えた「青葉館」、そして2016年に誕生した半露天風呂付き和洋室の2タイプ。
豊かな湯、和みの空間、滋味あふれる料理の数々。老舗の格式を気取らず体験できるのが『岩松旅館』の魅力だろう。
『竹泉荘』のデザインコンセプトは「モダンジャパニーズ」。エントランスを入ると囲炉裏を配したロビーラウンジがあり、廊下に導かれた先のライブラリーラウンジには、巨大な梵鐘が吊り下げられている。松島の瑞巌寺をモチーフにしたこのオブジェは「非日常」への誘いが込められているという。
食事処のレストラン「竈神」で提供するのは、懐石料理に郷土色を融合させた和の料理。中でも宮城県内最上級ランクの仙台牛は人気だという。
敷地内に自家源泉が2本あり、全ての風呂が源泉かけ流しである。湯は温泉成分の濃い、弱酸性のもの。そして4つの客室に温泉の露天風呂が付いている(6つの客室が温泉の内風呂付き)。
蔵王山麓にあるこの宿は、“四季の宿”を冠するだけあって、季節によってさまざまな表情を見せる景色が訪れる人の目を楽しませてくれる。
自慢の自家源泉が湯口から滔々とあふれ出る温泉に身を委ねれば、日頃の疲れもどんどんとほぐれていく。露天に出ると、高野槇で設えられた浴槽からは木の香りが漂い、まるで目の前に広がる林の中で湯浴みをしているかのようだ。心身ともにリラックスした後は、お待ちかねの食事の時間。米や野菜は一里四方のものを厳選し、豊かな三陸の海がもたらす海の幸や旬の食材を駆使して、季節を映した美しい懐石料理が卓上を彩る。一期一会の味わいを堪能したい。
日本三景・松島の中心部から車を走らせること数分。のどかな田んぼ道を抜けた先に、潮風と松林に囲まれた岬の一軒宿、『松島佐勘 松庵』はひっそりと佇む。客室数はわずか11室、大人のための隠れ家だ。
客室に通され、障子を開け放つと、穏やかな海が眼前に飛び込んでくる。部屋でいただく夕食は、宮城・松島の四季折々の旬を盛り込んだ会席料理。料理長の心遣いがこもった彩り豊かな品々が、目と舌を愉しませてくれる。食後はマリア・カラスやマレーネ・ディートリッヒが流れる「さろんくら」で、樽詰めの焼酎を一杯。部屋に戻ると、波穏やかな入り江に浮かぶ月明かりが出迎えてくれ、ほろ酔い心地で夢の世界へと誘われる。
※2020年9月発行臨時増刊『編集部が本気が選んだ 宮城を楽しむ おでかけ&宿』掲載時の情報です。現在の詳細は各施設へお問い合わせください。