Kappo 仙台闊歩

CULTURE 2020.05.04

休日CINEMA 『HOKUSAI』 (Kappo 5月号より転載)

TEXT=編集部

Kappo本誌のCINEMAコーナーで紹介した、映画作品をお届けします。
※5月29日公開予定でしたが、現在の公開予定日は2021年です。

(C)2020 HOKUSAI MOVIE

貧乏絵師の勝川春朗が孤高の絵師・葛飾北斎になるまで

孤高の浮世絵師・葛飾北斎の生涯を描いた『HOKUSAI』。町人文化華やぐ江戸の街で、食うや食わずの生活を送っていた貧乏絵師の勝川春朗。傍若無人な振る舞いもあって、師匠からも波紋された。そんな彼の才能を見出し、開花させたのは、東洲斎写楽や喜多川歌麿を世に出した稀代の版元・蔦屋重三郎だった。独自の絵を次々と生み出し、当代随一の人気絵師・葛飾北斎となる。奇想天外な世界観や構図は江戸中を席巻するが、次第に幕府の反感を招くことになる。

世界で最も有名とも言える日本人の謎多き人生

1998年にはアメリカ『LIFE』誌が企画した「この1000年間に偉大な業績をあげた世界の人物100人」に、日本人で唯一選出され、今や世界中にファンがいる葛飾北斎。生涯で約3万点以上の作品を残し、その画題の広さは「森羅万象尽くして描かざるはなき」と言われるほど多岐に渡った。今作では、彼に関する数少ない史料を基に、謎に包まれたその人生を独自の視点と解釈で描き出す。青年期を柳楽優弥、壮年期を田中泯の2人が演じる。幕府によって風紀が厳しく取り締まられていた当時は、浮世絵もまたその対象だった。それでも北斎の“描きたいものを描く”というブレることのない信念を2人が見事に届けてくれる。エネルギッシュな江戸の町にも注目してもらいたい。

作品概要
2020年/日本/2時間9分
監督/橋本一
企画・脚本/河原れん
出演/柳楽優弥、田中泯、阿部寛、永山瑛太、玉木宏、青木崇高、瀧本美織、津田寛治
配給/S・D・P
公開予定日・上映館/未定

■ Kappo 2020年5月号 vol.105 ■
巻頭特集は「新 まち歩きの教科書」と題し、新しい“まち”の魅力を探しに出かけてみました。第2特集として「第3回 仙台短編文学賞」の大賞&プレスアート賞の受賞作品を全編掲載。ぜひ本誌をご覧ください。

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