PHOTO_鈴木信敏
TEXT_梅津文代(編集部)
ハンディカメラを片手に、人懐っこい笑顔で話すダヴィデ・ビッティさん。仙台在住歴はのべ5年間、東北大学で日本思想史を研究していた彼は、日本語、イタリア語、英語を難なく操る。今では、動画サイトYouTubeでチャンネル登録者数約5万人を誇る人気YouTuberだ。仙台に来た当初は大箱の居酒屋などに行っていたというが、次第に小さな店が軒を連ねる横丁へも足を運ぶように。特に、壱弐参横丁のピッツェリア『ろっこ』はオーナーの庄子達広さんがイタリア語を話せることもあって、ダヴィデさんの行きつけとなった。
さて、ここからは本誌に載っていないお話を少々…。
仙台は横丁が多い土地柄だが、地元の人でも行きつけを持っているのはなかなかの通。ダヴィデさん、よくお店を見つけましたね? 「最初に仙台に来た頃は大きな居酒屋とか目立つ場所にある店に行っていました。でも、小さいお店のほうがお客さんとの距離も近いし、色んな人と話せるでしょ。地元の普段の姿がわかるから、横丁は楽しいんですよ!」という力強い回答が。ついつい“いつものところ”に足が向きがちだけれど、彼曰く「ちょっと冒険する気持ちが大事。自分と合わなかったら、1杯飲んで出ればいいしね。たまには新しいお店も開拓してリフレッシュなくちゃ」。
ちなみにダヴィデさんはお酒が大好き。取材の時も「昨日ちょっと飲みすぎたよ…」なんて言いつつ、しっかりスプリッツァーをオーダー。『ろっこ』の庄子さんが言うには「いま、イタリアの若者の間で人気のアペリティフ」なんだとか。これはアペロールというリキュールをスパークリングワインとソーダで割ったカクテル。
イタリアから来た留学生を連れてお店に来ることも多いというが、彼らが驚くのは日本人の飲み姿。「ベロベロになるまで酔っ払う人が結構いるでしょ? 皆、あれにビックリします」とダヴィデさん。確かに格好のいいものではないけれど、千鳥足の酔客は日本ではおなじみの光景。「イタリアでは“酔っぱらい”って言葉はあんまりいいイメージじゃない。眉をひそめるような対象なんですよ」と庄子さんが解説してくれた。むむ、これは気をつけねば。仙台の横丁は近年、外国人客が急増中。飲むなら楽しく、そして格好よく、を意識したいところ。
…と言いつつ取材はさらに続き、2軒めの『牡蠣小屋ろっこ』へ。こちらでの模様は、ダヴィデさんが動画でレポート。お店の魅力やコンセプトをイタリア語で紹介しているので、ぜひご覧あれ。
1985年、イタリアはローマ生まれ。ローマ大学で日本語・日本学を学び、2008年に初来日。2010年、大学の交換留学生として1年間東北大学へ通い、震災を経験。帰国後、2015年に再び東北大学へ。文学研究科日本思想史学科で地震なまずの研究を行う。2019年4月、仙台で就職。社会人として働く傍ら、YouTubeで仙台を中心とした日本文化を紹介している。 YouTubeチャンネル/Vivi Giappone