Kappo 仙台闊歩

CULTURE 2019.12.11

仙台オヤジ編集者3人衆 おすすめ本ベストテン2019

POINT

今年でなんと10回目を迎える「仙台オヤジ編集者3人衆 おすすめ本ベストテン」企画。 仙台の編集者が書店イベントで出会って意気投合し、 「1年読んだ本の中からベストテンを発表しよう!」と盛り上がったのが2010年のこと。 以来、年末にKappo誌上とリーフレットでそれぞれのベストテンを発表し、 イベント等で本の面白さを勝手に宣伝してきました。 10年続いたことを祝し、今年はKappoのweb版ができたので、web上でも発表します。 ブックガイドとして使える恒例のリーフレットは、現在宮城県内の主要書店で配布中です。

小林直之(東北大学出版会事務局長)のベストテン

小林さんベストテン! 1位はソナーリ・デラニヤガラさんの『波』でした

PROFILE

小林直之(東北大学出版会事務局長)

1972年生まれ。明治大学文学部卒業。東北大学出版会事務局長。大学出版部協会理事。宮城教育大学非常勤講師。時事通信等に文芸・ノンフィクション作品の書評を執筆。河北新報にエッセー「とうほく本の散歩道」を連載中。

小林直之さん(東北大学出版会事務局長)

【総評】
今年も読んだり書いたりの一年でした。仙台市内に面白い古本屋さんができ、本の楽しみ方がよりいっそう広がりました。皆さまにも、素敵な本との出会いがたくさんありますように。

①『波』/ソナーリ・デラニヤガラ(佐藤澄子訳)/新潮クレスト・ブックス/2,000

②『恐竜の世界史 負け犬が覇者となり、絶滅するまで』/スティーブ・ブルサッテ(黒川耕大訳 土屋健日本語監修)/みすず書房/3,500

③『定価のない本』/門井慶喜/東京創元社/1,700

④『アフターマン 人類滅亡後の動物の図鑑 【児童書版】』/ドゥルーガ・ディクソン(G.Masukawa 訳)/学研プラス/1,300

⑤『夢見る帝国図書館』/中島京子/文藝春秋/1,850

⑥『クロード・シャノン 情報時代を発明した男』/ジミー・ソニ、ロブ・グッドマン(小坂恵理訳)/筑摩書房/2,500

⑦『世にも危険な医療の世界史』/リディア・ケイン、ネイト・ピーターセン(福井久美子訳)/文藝春秋/2,200

⑧ 『生き物の死にざま』/稲垣栄洋/草思社/1,400

⑨『樹に聴く 香る落葉・操る菌類・変幻自在な樹形』/清和研二/築地書館/2,400

⑩『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生み出しつつあるもの』/藤崎慎吾/講談社ブルーバックス/1,100円 

 


川元茂(Kappoプロデューサー)のベストテン

川元さんベストテン! 1位は『ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29』でした

PROFILE

川元茂(Kappoプロデューサー)

1967年生まれ、東北学院大学卒。仙台短編文学賞事務局長。今年は『Kappo特別編集 女川 復幸の教科書』『本当にうまいそばの名店 山形』を編集しました。禁煙&健康のため35年ぶりにテニスを再開し、夢中になりすぎて、文化的な活動がおろそかに(笑)。アマゾンプライムでHBO作品を観たり、Huluで『時効警察』を観たりしていましたが、劇場や展覧会にほとんど行きませんでした。2020年はスポーツと文化をバランスよく摂取したいと思います!

川元茂さん(Kappoプロデューサー)

【総評】
結果的に小説(特に短編)を多く読んだ一年になりました。そして自分はけっこうSFや幻想文学が好きなんだと思わされた一年でした(先日選んだベストオブベストの結果も合わせての考察です)。初老に片足を突っ込んでいますが、いまさらSFを読むのって青春への回帰なのでしょうか。

『ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29』/ジェイ・ルービン編/新潮社/3,960

『回復する人間』/ハン・ガン(斎藤真理子訳)/白水社/2,640

『伊丹十三選集 二』/伊丹十三/岩波書店/3,630

『掃除婦のための手引き書』/ルシア・ベルリン(岸本佐知子訳)/講談社/2,420

『なめらかな世界と、その敵』/伴野練/早川書房/1,870

⑥『郝景芳(ハオ・ジンファン)短篇集』/郝景芳(及川茜訳)/白水社/2,640

⑦『短編画廊 絵から生まれた17の物語』/ローレンス・ブロック編(田口俊樹他訳)/ハーパーコリンズ/2,420

⑧『セロトニン』/ミシェル・ウエルベック(関口涼子訳)/河出書房新社/2,640

『沈黙の作法』山折哲雄×柳美里/河出書房新社/1,870

『偶然の聖地』宮内悠介/講談社/1,815

 

土方正志(荒蝦夷代表)のベストテン

土方さんベストテン! 1位はルシア・ベルリンさんの『掃除婦のための手引き書』でした

PROFILE

土方正志(荒蝦夷代表)

編集者・作家・エッセイスト。1962年、北海道生まれ。東北学院大学卒。著書に『ユージン・スミス 楽園への歩み』(産経児童出版文化賞)、『新編 日本のミイラ仏をたずねて』、『てつびん物語 阪神・淡路大震災ある被災者の記録』、『震災編集者 東北の小さな出版社〈荒蝦夷〉の5年間』。荒蝦夷は2012年出版梓会新聞社学芸文化賞。2017年から2年間、読売新聞読書委員。今春、仙台市に〈古本あらえみし〉をオープン。

土方正志さん(荒蝦夷代表)

【総評】
なんだか落ち着いて本が読めない年でした。新米古本屋の東奔西走は楽しかったけれど、さらに糖尿病の宣告に親の介護を来てはトホホです。

『掃除婦のための手引き書』/ルシア・ベルリン(岸本佐知子訳)/講談社/2,420

②『我らが少女A』/高村薫/毎日新聞出版/1,980円

③『山海記』/佐伯一麦/講談社/2,200円

④『波』/ソナーリ・デラニヤガラ(佐藤澄子訳)/新潮クレスト・ブックス/2,000

『沈黙の作法』山折哲雄×柳美里/河出書房新社/1,870

⑥『龍彦親王航海記 澁澤龍彦伝』/礒崎純一/白水社/4,400円

⑦『ブルース・リー伝』/マシュー・ポリー/亜紀書房/5,940円

⑧『セロトニン』/ミシェル・ウエルベック(関口涼子訳)/河出書房新社/2,640

⑨『月下の犯罪』/サーシャ・バッチャーニ/講談社選書メチエ/2,035円

⑩『楽園をめぐる闘い』/ナオミ・クライン(星野真志訳)/堀之内出版/1,760円

トークイベントも開催されます!

タピオ館立オープン大「仙台オヤジ編集者による年末年始おすすめの本 2019年版」

出演/小林直之、川元茂、土方正志
日時/20191220日(金)19002000

場所/泉パークタウン タピオ南館1階 入場無料・予約不要
TEL/022‐375‐8808
http://www.fm797.co.jp/tapidai/


祝!オヤジ編集者10周年トーク<ベスト・オブ・ベスト 2010~2019>

10年間のベストテンから選び抜いた<ベスト・オブ・ベスト>をご紹介します。
出演/小林直之、川元茂、土方正志

日時/20201月3日(金) 13:00~15:00

会場/金港堂本店2F特設会場(仙台市青葉区一番町2-3-16)
入場無料 問い合わせ/022‐225‐6521(金港堂本店)

お待ちしています!

仙台の主要書店や古本「荒蝦夷」にて配布中。早い者勝ち。

BACK TO LIST
Kappo2020年1月号 ショコラの誘惑 vol.1『La Cui-Cuit』前の記事へ
Kappo 2020年1月号 大人のいい店 vol.4 決めの一軒 いま井次の記事へ