PHOTO_齋藤太一
TEXT_小林薫(編集部)
巷でちらほらと国産のジンが話題に上るようになった2018年、大崎市に代表取締役の杉原健太郎さんと、蒸留技師の板井遼太さんの2名体制の小さな蒸留所「MCG(ミヤギクラフトジン)」が誕生した。
本場イギリス・ロンドンやスコットランドでの視察や試行錯誤を重ね、今年5月に第一弾となるクラフトジンを発売した。
地元に根ざし、世界と肩を並べる品質で上を目指したいと願って、宮城の県木である「欅」の名前を付けた。
お酒の香水と呼ばれるほど、様々な香りを付けられるのがジンの特長。
「欅」は香りの主となるジュニパーベリーとコリアンダーシード以外の材料に、宮城県産の食材を用いている。
宮城県産のゆず果皮、秋保町のブドウ果皮、石巻の桃生茶、名取産のセリでそれぞれ香り付けし、最後に独自の配合でブレンド。
杉原さんは「まずはジンそのものの認知度を上げたい」と、ストレートで味わうよりもジン・トニックで飲んだ時に香りが広がるように仕上げた。
グラスに注ぐと華やかなゆずとほのかにセリの青っぽさが香り、口に含めば茶葉の甘みとブドウの皮の渋みが微かに感じられる、爽やかな味だ。
板井さんは「どんな素材を使っても味になる。蒸留を始めてまだ1年経っていないので、旬が来たら試したい食材はたくさんあります」と話す。
全国の特約店40軒ほどで取り扱うが、飲食店に向けた一升瓶も用意。「ゆくゆくは、飲食店の方たちと一緒に『仙台ジン・トニック』なんて作れたら」と杉原さん。
MCGのクラフトジンを使った、宮城の新しいカクテルが登場する日も近いかもしれない。
■ Kappo 2020年7月号 vol.106 ■
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