仙台空港から海外への定期路線が就航して2020年で30年。観光に、ビジネス、国際線の旅客累計は約872万人に及ぶ。人やモノが動く背景には何があり、どんなビジョンが描かれているのか。世界各地へ飛び立つ旅人を送り出し、降り立つ旅人を迎えてきた、さまざまな現場の声を聞けば、これからの仙台空港の姿が浮かび上がる。
30年前の仙台空港国際化の背景には、姉妹都市提携などによる地域の国際化や個人の海外旅行ブームという全国的な潮流がありました。1987年の国の海外旅行倍増計画(テンミリオン計画)もあり、地方空港の国際化が大きく進み始めていました。仙台空港でも、ソウル線の就航を皮切りに、毎年のように新たな国際路線が開設され、海外が身近な存在として感じられるようになっていきました。東日本大震災では、仙台空港 がいち早く復旧したおかげで、国内外からさまざまな方々が東北を訪れ、復興を後押ししてくれました。2016年の仙台空港民営化は、空港の活性化を通じて交流人口を拡大し、創造的復興を成し遂げるための施策です。民間活力による 空港運営によって、旅客ターミナルビルのリニューアルや路線の拡充など、利便性の向上が図 られています。
2019年の宮城県の外国人宿泊者数は53万4000人泊まで増えましたが、コロナ禍で仙台空港の国際線は運休し、振り出しに戻ってしまいました。アジアプロモーション課では、コロナが収束し、自由 に国内外を行き来できるその日に備え、海外拠点やSNSを活用して、宮城や東北の自然や食、祭りなどの情報を、海外の方の 視点に立って発信することに力を入れています。 空港の旅客数は地域力を示す バロメーター。空港の利用が増 えるのは会いたい人がいる、訪 れたい場所があるからです。空 港のさらなる活性化には地域の 魅力づくりとそれを伝える努力が重要なのだと考えています。
1988年設立の当社にとっ て初の国際線チャーター運航路線が仙台でした。それだけに「仙 台ーソウル線」への思い入れは 強く、全社的に重視しています。 東日本大震災以前、仙台空港 発着の国際線利用者の4〜5割 が当社のお客様でした。近年は 仁川空港で乗り換えてヨーロッ パに向かうツアーがシニア層に 人気。K-POPやファッショ ン、コスメ、韓国グルメをきっ かけとした第4次韓流ブームで若年層の搭乗率も上昇しました。
一方、韓国では日本での夏のゴルフ、秋の紅葉、冬のスキーがすっかり定着し、東南アジアから仁川を経て仙台に降り立つ方々も増えました。「仙台ーソウル線」は日本で 暮らす韓国の方が里帰りのため利用する生活路線でもあります。自由度の高い個人旅行の利用者が多いため、仙台空港は出入国のバランスがとてもよいのです。
2002年のサッカー日韓ワールドカップを挟んで韓国から 日本への旅行ブームがあり、日本からは第1次韓流ブームで訪韓者数が激増しました。以降、 SARSやMARSなど感染症の流行や日韓関係の冷え込みな どの問題が浮上しても、韓流ブームの火は消えず、生活路線で もあることから安定した利用数がありました。ただ、新型コロナ問題では運休を強いられ、いつ飛ぶのかとお問い合わせも多くいただいています。 2011年7月、仙台空港か ら震災後初となる国際線を運航したのは当社でした。そのプライドを胸に、季節に応じたPR などアフターコロナの戦略を練っています。
第2回では、仙台空港の貨物、設備を支える2人のキーマンが登場しますので、ぜひこちらもご覧ください。
キーマン7人へのインタビューはKappo1月号に掲載しております。
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【関連リンク】
【連載①】キーマン7人に聞いた「仙台空港国際化30周年 これまでとこれから」
https://kappo.machico.mu/articles/4472
【連載②】キーマン7人に聞いた「仙台空港国際化30周年 これまでとこれから」
https://kappo.machico.mu/articles/4494
【連載③】キーマン7人に聞いた「仙台空港国際化30周年 これまでとこれから」
https://kappo.machico.mu/articles/4499