一日のはじまりに食べる朝ごはん。
慌ただしい日の朝も、ゆったりとした休日の朝も、
お気に入りの調味料や道具、ちょっとした楽しみがあると、
気分よく一日をスタートできる気がしませんか。
朝ごはんを愛するスタッフが、
そんな、朝ごはんを彩るあれこれをご紹介します。
テーブルの上に、自分好みの光景が広がっているだけで気分がいい。
そのことに気づいたのは、好きな器が揃いはじめたことがきっかけでした。
余裕がある日にお魚や卵を焼く以外は、もっぱら作り置きおかずの朝ごはん。特別手をかけなくとも、気に入った器に盛り付けるだけで、不思議と達成感に満たされ、気持ちがすっと整います。
朝ごはんの定番選手たちの中でも、最も欠かせない一枚が、島根県の出西窯で作られた7寸皿。色合いも質感も使うほどに愛着が増し、棚にしまう暇もないほど一日のはじまりをともに過ごしている存在です。
こちらの7寸皿に出会ったのが、西公園近くにあるLes VACANCES(レ・ヴァコンス)さん。愛媛の砥部焼、沖縄のやちむんなど、日本各地の陶磁器やガラスなどを取り揃えるお店です。
「その土地の土を使っているものだったり、風土や歴史にもとづいて生み出されたものだったり、各地の暮らしの中で育まれたものを揃えています」とオーナーの山崎 綾さん。たとえば、沖縄のマカイ(お椀・どんぶり)であれば、ソーキそばを食べるのにちょうど良い形になっているなど、伝統や文化、地域の暮らしに根付いたつくりであることが伺えます。
伝統的な形のもののみならず、マグカップやスープカップなど、現代のライフスタイルに応じて誕生したものもラインナップ。1950年代、日本の民藝運動を推進した陶芸家、バーナード・リーチの来窯によって、小鹿田焼きにハンドル(取っ手)が付いてリビングにも似合う装いへと変化を遂げたエピソードは、民藝に詳しい方にはよく知られるところ。そうしたかつての変遷から現在進行中の取り組みまで、職人たちの技術と新たな感覚の融合といった制作背景に触れられるのも、Les VACANCESさんでの楽しみの一つです。
それぞれの背景にも興味が高まるところですが、うんちくで選ぶよりも、まずは目で見て触れて、ピンときたものを選んでもらうのがいちばん、と山崎さん。「これが好き、と感じたものを安心してお選び頂けるように、つくりのきちんとした商品ばかりを揃えています」と、心強い言葉を頂きました。
店内のディスプレイや山崎さんとの会話を通して、何を盛り付けようかな、部屋がどんな表情に変わるかな、と幸せな妄想は膨らむばかり。
器が育まれた土地の風景に想いをめぐらせ、それを迎え入れた自分の生活風景に想いをめぐらせる。
そんなイマジネーション広がる旅へとお出かけください。
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文・写真_佐藤直美(編集部)