Kappo 仙台闊歩

TRAVEL 2019.12.09

Kappo2020年1月号 五感が開く宿 vol.2『校舎の宿 さんさん館』

PHOTO_池上勇人
TEXT_ナルトプロダクツ

POINT

Kappo1月号の巻頭特集から注目の宿をピックアップしてお届けします。

「学校に泊まってみたい」。そんな幼い頃の小さな夢が叶う宿、それが南三陸町の『さんさん館』だ。昭和初期に建てられた、木造の校舎。杉の下見板張りの壁が古色蒼然とした風合いで、何とも懐かしい。宮大工として活躍した地元の気仙大工が、地元の木材を使って建てたこの建物は、東日本大震災の時でさえびくともしなかったという。板張りの廊下は角に丸みを帯びて、水飲み場や窓の建具、壁掛け式の呼び出し電話機は数十年前から時が止まったようにそこにある。
1954年から続く45年の歴史に幕を下ろし、いちどは取り壊しの話まで出た林際小学校。その存在を惜しんだ卒業生たちが中心となって行った保存活動の結果、2001年に南三陸エリアのグリーン・ツーリズムの拠点として再生を果たした。今ではひと月ごとに1つから7つほどの季節感豊かな体験プランが楽しめ、その幅も農業から漁業、林業、伝統食やものづくりと実に広い。教室を改築した客室にも、小さな学習机や椅子、教材などの面影が活かされ、古い思い出を呼び覚ます。

昭和29年竣工の木造校舎に手を入れて、グリーンツーリズムの拠点として再生。耐震のための工事もしっかり施工済み。

客室は教室よろしくナンバリング。「2年1組」はツインルーム。音楽室で使われたピアノ机や椅子が趣深い。

夕食の「かご御膳」。切り干し大根とシュウリ貝の煮物、人参のラぺ、油麩温麺、帆立ともちぶたの小鍋仕立てなど。生牡蠣やハラル料理など、特別仕立ての相談も可能。

体育館では、正月支度に欠かせないしめ縄づくりが行われていた。見事な縄ないの技を体験できるプランも。

校舎の宿 さんさん館

WEB
https://san3kan.net/

■ Kappo 2020年1月号 vol.103 ■
巻頭特集「五感が開く宿」にて、宮城+近県+栃木エリアにある宿を紹介しています。
五感を刺激し、開き、磨いてくれる宿で、いつもと違う風景や感動に出会い、旅の醍醐味を満喫しませんか。
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