Kappo 仙台闊歩

FOOD 2023.10.23

〝ワインは文化〞という言葉を胸に ふるさとのテロワールをワインで表現 新・東北風土記 第2回 岩手県花巻市『高橋葡萄園』【Kappo2023年11月号】

写真=鈴木信敏 TEXT=鎌田ゆう子

果樹栽培が盛んな岩手県花巻市は、ワインとシードルの特区に認定されています。市内に6軒あるうち、4軒のワイナリーが集中している大迫地区。岩手県内最古のワイナリーや、新規就農してワイン造りにチャレンジしている人など、多種多様。個性あふれる大迫地区のワイナリーを訪ねてみました。今回は『高橋葡萄園』をご紹介します。

『高橋葡萄園(たかはしぶどうえん)』(岩手県花巻市)

(左)爽やかな香りがあり、酸味と果実の風味のバランスが良い「リースリング・リオン」(750ml・2970円)。(右)柑橘系のフルーティーな味わいが魅力の「ミュラー・トゥルガウ」(750ml・2970円)。

〝ワインは文化〞という言葉を胸に
ふるさとのテロワールをワインで表現

大迫町で生まれ育ち、地元の有名ワイナリーで15年余のワイン醸造経験を経て独立した高橋喜和さん。
2012年、オリジナルブランド『高橋葡萄園』を立ち上げ、ブドウ栽培農家でもある実家の畑で採れたブドウを使って委託醸造を開始し、その3年後に念願の自家醸造所を設立した。
栽培においては、「ワイナリー勤務時代に研修先のオーストリアで得た『ワインは文化である』『ワインの品質はブドウ畑で育つ』という教えがモットー」と話す高橋さん。
土中微生物の活動を活発にするため、除草剤をほぼ使用しない草生栽培を実践し、房の段階で丁寧に選果を行って実のポテンシャルを高め、ほぼ全量自家栽培ブドウでワインを仕込む。
醸造もまた、大迫のテロワールを最大限表現するためシンプルに。
もろみに負荷をかけないようポンプではなくバケツで手運びし、補糖や酸化防止剤の使用も極力控え、瓶詰めも非加熱で行う。
こうすることで、大迫のワインらしい酸がありながら、それでいて芯もある、フレッシュで香り高いワインが生み出されるのだ。
ワイン造りに携わって通算20数年。
この地の気候風土を知り尽くした生産者が醸すワインは、大迫に根付いた文化そのものであることを気づかせてくれる味わいに満ちている。

80アールの自家圃場を持つ。水はけの良いこの畑では健全に育ったリースリング・リオンが収穫の時期を迎えていた。

「主張は強くなく、食事になじみ、気づいたら飲み切ってしまっているようなワインが理想です」と語る高橋さん。

高橋葡萄園(たかはしぶどうえん)

住所
岩手県花巻市大迫町亀ヶ森第47地割4番
電話
080・1662・6150
WEB
http://weinbautakahashi.com/

Kappo11月号は、宮城県内の書店、Amazonマチモールほかで発売中。

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